恋愛日和 いつの日か巡り会うその日まで

「‥‥はぁはぁ‥‥ツッ!!」


入院をしてから
本格的に始まったリハビリに
苦戦をする毎日


先週はベッドから
1人で立ち上がる練習や
椅子から立ち上がる練習程度だった



でも歩行訓練が比べものにならない
くらいこんなにハードだったなんて……


腕のギプスが入院して
1月半たったころ
ようやく外して貰えた時、
なんとも言えない解放に
満たされたのも束の間だった。


「(ツッ!!)」


大腿骨の折れた箇所を
ボルトで留めてあるし
ギプス固定があっても
一歩動かす度に激痛が走る


『立花さん、無理をせずゆっくりね』


倒れそうになる私の体を
療法士の方に支えられても
それをなるべく断った


自分の足で一歩でも歩きたい……
そうしないと気持ちが
負けてしまいそうだったから



「はぁ……難しい‥ツッ!‥」


『痛みが酷いときはやめること。
 無理しすぎたら駄目だからね?
 じゃあ次はここに仰向けで寝ようか』


簡単にできるような事が
骨が折れただけで全然上手く出来ない…


『これは少し痛むから
 キツいと思うけど頑張ろうね』


「……はい」


筋肉が伸び縮みする度に
さっきとは違う痛みが襲い、
思い切り歯を食いしばった


『はい、今日はおしまい。
 よく頑張ったね』



マットに仰向けのままで
息を整えていた私は
視線を感じて窓の外を見たけど
誰もいなかった


「先生ありがとうございました。
 明日も宜しくお願いします」


マットから
起き上がらせて貰った私は
車椅子に乗りリハビリ室を後にした


汗いっぱいかいちゃったから
早く着替えたいな‥‥



両手が使える事で
車イスを動かせるようになった私は
中庭をチラッと覗いた。


今日はいないか……


あれから毎日中庭に出て、
夕方ベンチで本を読むのが
いつの間にか日課になっている



「わっ!!」
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