恋愛日和 いつの日か巡り会うその日まで
瀬木 遥 side
『いつまで着いてくる気?』
日和との時間を邪魔されただけで
只でさえ機嫌が悪いっていうのに
相手が相手だけにイラつく
睡眠を削ってでも
仕事を急いで片付けるのは
少しでも彼女に会いたいからだ
俺への記憶が全くないのに、
すぐに寝不足なのを見破られて
一瞬記憶が戻ったのかと期待してしまう
『待ってください!!
あ、あの私瀬木さんと
話がしたいだけなんです』
『はぁ‥‥悪いけど君と
何も話すことはないから。
それと、次ここに来たら
俺君に何するかわからないよ?』
あの時警告したのに
こうなってしまったことは
多分俺の責任だ。
睨んだ後青ざめて逃げる姿に
疑問に思っていた事が少し確信づく
車に乗った後、久しぶりに握った
日和の手の感触を思い出す。
小さくて、あったかくて可愛い手を。
かなり震えていたから本当なら
すぐにでも抱き締めたかったけど、
混乱させて負担になるのは
避けたかったから
手を思わず握ってしまった。
あんなに小さな体で
痛みに耐えてリハビリをして
汗を流して頑張ってる姿に、
自分も頑張ろうって思わされる。
記憶なんかなくても
これからまた作っていけばいい。
戻ってきた日和を絶対守れるように
俺がしっかりする番だから。
握った手の温もりが消えないように
拳にした手を唇に触れさせ車を出した
瀬木 side 終