恋愛日和 いつの日か巡り会うその日まで

その日
気分がスッキリした私は
ご飯を沢山食べてから検査に向かった


もうそんなのやる必要なんてないのに、
心電図や脳波を調べてから
念のため頭のCTもとらされた



今日もリハビリ行こうかな…‥
午後から瀬木さんが来てくれるから早く
会って驚かせたい


あの腕で早く抱き締めてほしい。
頭を優しく撫でてほしい。
そして退院したらまたあの家に帰りたい


計り知れない辛さと
沢山の心配をかけたのに
ずっとこうして側で何も言わずに
見守ってくれた瀬木さん


優しく笑顔で待っていてくれた隼人くん


‥‥今度はちゃんとすぐに謝りたい



『立花さん!だいぶ歩くスピードが
 安定してきたね』


いまだに早くは歩けないけど、
私の足はちゃんと回復して
歩けるようになってきた


段差の登り降りがまだ
スムーズにいかなくて
苦戦してしまうけれど
前と気持ちが全然違う



「ツッ!」


『立花さん!』


少しだけ高い段差に
挑戦しようとしたら
足に走った痛みに
倒れそうになってしまう


『はい、少し休憩』


「すいません……はぁ…」


椅子に座らせて貰って時計を見る


あと少しで瀬木さんが来ると思うだけで
ドキドキソワソワして
顔も熱くて鼓動が早くなる


何から話そう……話したいことが
沢山ありすぎてどうしよう



『何かいいことでもあったの?
 今日はにこにこしてるから』


約2ヶ月お世話になった
リハビリ担当の先生が私の隣に腰掛けた


そんな顔をしてるんだと思うと
恥ずかしくてタオルで顔を押さえる



「今日はずっと会いたかった人に
 会えるんです。
 すみませんリハビリ中に……」


『いいんだよ。
 そういう事が力になる人は多いんだ。
 誰かの存在があるのは
 とても大切なことだから』



今は迷惑かけた分大切な人たちの為に
早く治したい。


おかあさん
お兄ちゃん

和木さん
高城さん


‥そして大切な隼人君


記憶をなくしたのは
ダメージとして大きいけれど、
その分学んだことも沢山ある


それを少しずつ感謝しながら
みんなに恩返ししていきたい


リハビリを終えた私は
看護師さんに呼ばれて
外来のギプス処置室へと連れてこられた


『立花さん固定をそろそろ取ろうか。』


「ほんとですか!?」
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