恋愛日和 いつの日か巡り会うその日まで
『‥‥‥‥なっ!?‥えっ?
 ‥‥ここに女!?』



突然現れた私を見て
ソファーに座る見知らぬ2人が
立ち上がり驚いて声を出した



いきなり大声出されて
驚くのはこっちなんだけど‥‥



カチャ


「あ…瀬木さん…戻りました。」


『おかえり』


ちょうど
仕事部屋から出てきた瀬木さんに、
早速頼まれていたものを差し出した



『ありがと、そこ置いといて』


言われた場所にそれを置けば、
キッチンに置かれたままの
オムライスが朝から動かぬままの
状態が目に入った



やっぱりまた食べずに
仕事してたんだ……
寝てないし食べてないしで
体大丈夫なの?



『ちょっと瀬木先生!!
 こんな可愛い子今まで隠してたの?』



奥に座っていた知らない男性が
瀬木さんと私を交互に見て
ニヤリと笑った。


『うるせぇ……喚くな。
 黙ってさっさとチェックしろ』


うわ‥‥‥機嫌悪‥‥。
ここまで先輩が言葉使い悪いのは
初めて見たかも。


それに特に今日はいつもより
機嫌が悪い気がするのは気のせい?



私の横にきた瀬木さんに
珈琲を淹れてあげたら、
眠そうにそれを受け取った。


「あの……すいません。
 瀬木さんのお友達ですか?」


一人はスーツをピシッと着こなした
カッコイイ大人な男性で、
もう一人はとっても綺麗な女の人だ



『は?友達?‥‥あれは出版社の犬』


‥へっ?

‥い‥犬?


『隼人、それはないだろ!!
 もうお前の作品取り扱かうの
 やめるぞ?』


『はっ、好きにすればいい。
 そこでは連載を書かないまでだ』


『ちょっと和木君やめてよ!
 締め切り押してるのに
 あたしがクビになるんだから!!
 クビ!!』



キッチンとソファという距離で
大声で飛び交う罵声に
子供の喧嘩のようで呆気にとられる。



『立花、これ今から食べるから』


「えっ?じゃあ……温め」


『いや、いいよ。
 冷めてても美味しそうだから。
 いつも悪いな。』



珈琲とラップのかけられた
冷めたオムライスをトレイに乗せ
また部屋へと行ってしまった彼を見送る



「あ、瀬木さん!
 あのこれはどうするんですか?」


ドアに入ってしまう直前で
掲げたおつかいの紙袋に、
振り返った瀬木さんが少しだけ笑った。



『立花が食べて。』


えっ?
< 24 / 147 >

この作品をシェア

pagetop