恋愛日和 いつの日か巡り会うその日まで
ガチャ

『おかえり、日和ちゃん。
 着替えとか洗濯機に
 入れておいたから』


「ただいまです。
 和木さん本当に
 ありがとうございます。」


先程躊躇なく
着替えさせようとしていた
自分に顔が熱くなるけれど
ぐっすり眠る先輩を見てホッとした。


とりあえず買ってきた冷却シートを
起こさないように
おでこに張りおえた私は
ベットの側に座った。



『コイツ、たまーに熱出すんだよ。
 作家って言うやつは
 寝ない、食わないで、
 時間も忘れるから
 自己管理がなってないんだよ。
 ま、無理させてるのは
 こっちなんだけどな。』


やっぱりそうなんだ‥‥


近くにいたのに体調の変化にすら
気づけなかったこと、
まだ少し苦しそうに寝ている
瀬木さんを見て申し訳なくなる



『日和ちゃん、大丈夫だよ。
 後は医者に任せとけばいいから』


「はい……すみません」


その後、お医者様が来てくれて、
前もって和木さんが症状をしっかり
伝えてくれていたお陰で
注射と解熱剤を投与してもらえた


驚いたのは、
計るのを忘れていた体温計に
記された数字だった。


40度って‥‥
平熱が低い私からは想像できない体温。
子どもの時くらいしか
こんな高い熱がでた記憶しかない。



「和木さん、本当に色々
 ありがとうございました。」


『ん、それじゃあまた出直す。
 落ち着いたら
 来たことだけ伝えといて。
 一応仕事の話しあったからさ。』


「はい、伝えます。
 お仕事中なのにほんとうに
 ありがとうございました。」


和木さんを見送った後、
どっと疲れが出てきたのか
初めて喉が渇いていた事に気付いた


コップに注いだミネラルウォーターを
一気に飲み干してから、
そっと瀬木さんがいる
二階に視線を上げる


身の回りの世話をするなんて
言っておいて全然ダメだ。


これじゃあ本当に
ただの居候と変わらない。


私があのメールに
もっと早く気が付いてれば
良かったのに、
悠長にランチなんかして……最低だ。


「‥‥はぁ‥」


お水を飲み干した後
大きめのボウルに
再び氷水を入れて
静かに二階へ上がった
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