恋愛日和 いつの日か巡り会うその日まで
カチャ


良かった‥‥
まだ眠ってる。


薬のせいか、
あらかった呼吸も
静かに収まってきてる気もするし。


サイドテーブルの上で
タオルをボウルに浸して絞った私は、
まだ少し汗ばむ頬や首筋に
それをそっとあてがう


『……ん…』


「‥あ、すみません起こしてしまって‥‥」


とろんとした瞳が少しだけ開いて
こちらを見ている。

あれから寝れたとしても
まだ2時間くらい


寝不足な上に熱もあるから
相当辛いはず


『…‥‥立花‥‥…ごめん』


ドクン


そう言って閉じられた瞳に
何故だか泣きそうになるのは、
五年前と同じ言葉を
言わせてしまったからかもしれない


先輩は何にも悪くないんです。
だから謝られると
余計に辛い‥‥


泣いてはいけないと
思いながらも
両目が涙でいっぱいになる


いつまで一緒にいられるか分からない。
先輩の優しさを感じると余計に
そう思えて、私は静かに上を向いた。
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