恋愛日和 いつの日か巡り会うその日まで
家から出れば
まだ朝早いのに照り付ける日射しに
首や背中が暑い‥‥。
日焼け止めの効果はあるのか?


「はぁ‥‥‥」


勘違いではないと思うけど
倒れてから瀬木さんが
すごく優しくなってると思う


涼しい顔立ちは変わらないけれど、
なんとなく一言ひとことが優しいし、
雰囲気が昔のように柔らかい


私も今は気持ちを落ち着かせて
仕事として瀬木さんには
向き合えてると思っているけど、
優しすぎると昔に引き戻されそうで
少し怖い気もする。



『日和おはよう!』


「彩、おはよう。
 今日で休み前の最後の講義だね」


『うん、夏休みも遊ぼうね』


「うん!……あ、でも」



そう言えば‥‥
安藤くんと出掛けようなんて
約束しておいて、瀬木さんが
倒れたことがあったから
すっかり忘れてた



『どうかした?』


「うん……
 安藤くんと出掛ける
 約束してたなぁって」


『ええっ!!!?』


「ちょっと……声大きいってば」


只でさえお兄ちゃんの講義なのに、
また呼ばれたらたまったもんじゃない


声を出せば見つかると
お互い分かってたので、
ノートに言いたいことを書いていく


"いつの間にそんな
関係になってたのよ。
もう付き合ってたりして?"


"そんなんじゃないし!
ただ出掛けようって言われただけ"


"あのねぇ、
安藤くん只でさえモテるのに
彼女作らない上で日和を誘うって、
ただのお出掛けじゃないに
きまってるでしょ?"


そうなの?


安藤くんは確かにモテると思うけど、
そういう風に見たことないもん


私の心の中は未だに先輩で一杯な訳で、
安藤君は特別意識してないから
大切な友達の一人だ


『おい‥‥お前ら。最終日に
 んなことやってるとは
 いい度胸だな』


ヒッ!!!!



目の前から
ドス黒いオーラを纏って見下ろす兄に
書いていたノートを奪われる


「ちょっと……か、返してください!」


『はっ!?罰として没収。
 二人とも後で俺の部屋まで来い』


「『やられた…………』」



何もノートを取ることないじゃん!
それよりも絶対あれ見られる!!



「ちょっと彩、
 …何で嬉しそうな顔してるの?」


『ん?‥‥
 だって私先生の事好きだから』


ガタッ!!!!


『おい、立花!!』


………夏休み最後の日、
友人が放った一言に気を失うかと思った

< 42 / 147 >

この作品をシェア

pagetop