恋愛日和 いつの日か巡り会うその日まで
大学の夏休みはとにかく
二か月の長ーい休みなのだけれど、
各授業で出される課題をこなすのは
本当に簡単じゃない


去年もだいぶ苦しんで作成したけど、
学年が上がって
専攻科目も増やしたから、
今年は早めにやるつもりだ。


安藤君には今日会えなかったから
また時間みて電話しようかな‥‥




「それより彩、さっきの本気!?」


『なんで?当たり前じゃない。
 文芸なんて難しいのを学ぶのは
 立花助教授に会うためだもん』


「ねぇ、あのさ‥…
 あの人あたしの兄だよ?」


『知ってるよ』


「本気?」


『当然』


「…………」


隠すこともなく笑顔でそう答える彩に
もう何も言えなくなった



コンコン


「失礼します」


ちょうど部屋から出てきた
教授にお辞儀をしてから
二人で部屋に入った



「あのノートを……返して欲しいなと」


『ノートねぇ‥‥なぁ、誰?安藤って』


ドクン


やっぱり見られた‥‥
というかこの人が妹のノートを
見ないわけがない!


「ダレデス……かね」


視線を斜め方向に思いっきり反らす。
お兄ちゃんは公私混同しすぎなんだよ‥
本当昔からシスコン‥‥


『先生、安藤くんは
 日和の事が好きな子です!!』


「彩!!」


お兄ちゃんの事
好きなのは分かったけど、
何でもかんでも話すのは
勘弁して欲しい。
一体どっちの味方よ‥‥‥


『ふーん、好きな子ねぇ。
 青春してんの?俺の授業中に?』


「ち、違うから、ほんと」


『ふーん、ま、いいさ‥。
 ところでさ、日和、
 尾田から話聞いた?』


えっ?


煙草を目の前で吸うのやめてよね‥‥


窓が空いててもこういう
女性に優しくないところは
瀬木さんと大違いだ。


白い紫煙を吐き出した兄から
強引にノートを奪ってやった


『夏休みアイツが
 軽井沢の別荘に行くから
 一緒に来ないか誘われたんだけど』


えっ!!?


そんな話は聞いてもないし、
その前に別荘!?


先輩あの若さで
そんなものまで持ってるの!?


寝る時間も削って働いてた私とは
本当に別世界の人過ぎる


そう言えば、帰ったら
話があるって言ってたから
この事だったのかな。


『もし日和も行くのなら、
 課題作りの環境もかなり整ってるし
 二人で行けば?』


『えっ!?私も行っていいんですか?』


ちょっと……お兄ちゃん
当の本人がいないのに
話進めちゃっていいわけ!?



「彩!帰ったら連絡するから」


『オッケー』


お兄ちゃんが行くなら、
彩はバイト蹴っても
何がなんでも着いてくるだろうな

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