恋愛日和 いつの日か巡り会うその日まで
調子に乗っていたのか
ハッとした頃には遅く、
質問してから口元を手で覆った


アルバイトの分際で
雇い主に突然何を聞いてくるんだって
思われてるかもしれない


でも……
高校の時のあの人と
まだ付き合ってるかもしれない


アルバイトとして
住ませていただいてるなら
もし鉢合わせた時に
相手が知らないのは嫌だと思う



『いるっていったら?』


ドクン


低くて耳に残る声が真っ直ぐ届く。
知りたいのに知りたくない‥‥
そんな気持ちが入り混じる


こんなにカッコいいんだもん‥‥
恋人ぐらいいてもおかしくないよ


あの時だって……
本当にお似合いの2人だったし。



「ふ、普通いますよね‥‥
 すみません変なことを聞いて。
 忘れてください。」


自分でも馬鹿だと思う。


泣かない……
この恋に関しては
あの時しっかりとここに
閉まったじゃない‥‥‥



『嘘だよ‥恋人なんていないから。』


彼の手が伸びてきて
私の頭を優しくまた撫でる


泣かないようにしてるのに、
この手が私の心の満杯のコップを
揺らすように掻き乱していく



サービスエリアに立ち寄り
休憩をしながらも、
思ったよりも早めに軽井沢に入ると、
一気に幻想的な雰囲気に
変わっていくことにドキドキし始めた。


素敵な場所‥‥‥‥


いつもはアスファルトや
ビルばかりの環境なのに
少し離れただけで
こんな自然が豊かな
場所があったんだ……


北海道もある意味自然は多かったけど、
私がいた函館は賑わっていたから
都心に近い雰囲気だった。


道路の両脇が木々で生茂り
まるで緑のトンネルを
駆け抜けているようだ。


どんどん進んでいくと
今度は視界にうつりはじめた
沢山の白い木々たちの世界になり


それは、本でしか見たことがなかったけれど
景色に映えてとても美しい


「(‥‥たしか……白樺の木のはず)」


そしてまたどんどんその
白樺の中を進んで行けば、
素敵な木目が美しい家の前で停車された


「ここですか?」


『そうだよ。
 荷物おろすから気をつけて降りて』


うわぁ……


あのマンションも
私には一生住めない物件だけど、
ここも凄い素敵な家だ


木目が美しいウッド調の2階建ての家は
想像していたよりも大きくて
森の中の別荘という名に
相応しい佇まいだ
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