恋愛日和 いつの日か巡り会うその日まで
 うわっ!!
 す、凄い……。ホテルでもないのに
 床が全面絨毯なんて初めて見た


 すごいふかふか‥‥
 

 
 私、ほんとに凄いとこに
 来てしまったのかもしれないなと
 思うと、不安が一層増していく


 到着した立派なエレベーターに乗り
 指定された十五階に到着した私は、
 教えられた部屋番号を探した


 どうしよう‥‥


 部屋の前に着いたのはいいけど
 今更なのに緊張してきた

 
 そもそも仕事内容がわからないけど
 こんな格好でいいのか?


 何だかんだで言われるまま来たけど
 本というワード意外
 実際なんの仕事かもよく分からない。


 お兄ちゃんの紹介だし、
 妹にやらせるバイトだから
 信用はしてるけど、
 ほんとに変な仕事だったら
 どうしよう‥‥‥
 とりあえず逃げる?


 いつものアルバイトの面接とは
 違う緊張感が増して、
 大きく深呼吸を何回かした。



 ガチャ


「フゥ‥‥!!」


『‥‥いい加減入ったら?』


 えっ!?


 先程聞いたより
 もっと低い声がダイレクトに伝わり
 驚いた私は瞳を開けて目の前を見た



 ドクン


 ん?
 あれ…………?


 ちょっと待って……


 この人何処かで…………





 ‥‥‥‥‥ツッッ!!
 嘘でしょ!?



 たかだか二十年という人生で
 こんな出会いが
 二度も起こるなんて思えない



 それでも今この瞬間
 胸の中がどうしようもなく
 苦い思い出に覆われていく


 口の前を震える手で
 覆ってしまうのは
 あり得ないという驚きによる
 声を抑えるためだ。


 扉にもたれてこちらを見つめる瞳に
 心臓がどうしようもなく騒ぐ



 ‥‥告白もしないまま終わった
  身勝手な片思いは、
 それだけなら相手には迷惑かけてない


 私が心から向き合えないのには、
 ものすごく大きな理由がある。


 見間違えるわけない‥‥‥



 目の前で腕を組み見下ろす
 キレイな相手は、
 やっぱりどう見ても彼なのだ。


 あの頃よりも大人びた容姿だけど、
 自分の脳がちゃんと覚えてる



 逃げないと‥‥‥‥‥
 このままだとダメだ‥‥‥

< 5 / 147 >

この作品をシェア

pagetop