恋愛日和 いつの日か巡り会うその日まで
『日和、元気だったか?』


もう一台から降りたお兄ちゃんと彩が
荷物を持ってこちらに来た


「元気って……
 この間会ったばっかりだし。」


『まぁ、そう言うなって。
 いい場所だな‥‥
 涼しくて仕事が捗りそうだ』


『櫂さんたちこっちです。』


いつの間にか
私の荷物を運んでいた瀬木さんに
慌てて駆け寄ると
お礼を言って中に入った


『部屋は2階の
 好きな部屋使ってください。
 立花たちは一番奥が
 ツインになってるから
 2人で使って』


『「はい、ありがとうございます」』


『凄い!!ホテルみたい』

「ほんとだね」


ツインルームには、
窓際に長い一枚板で出来た机と
椅子が2脚。あとは
広めのふかふかのベッドがある


部屋にはトイレとシャワーも付いていて
1階には檜風呂もあるらしい


『ねぇ、日和?瀬木さんって
 ものすごいカッコいいじゃない!
 一緒に住めるなんてあんた
 羨ましすぎるよ……
 ほんとにあんた達何もないわけ?』


「瀬木さんは‥私の雇い主だもん」


私たちに恋愛なんてものは全くない。
そもそも6年前だって
私の片想いだったし‥‥


荷物整理を終えた私は、
先に下へ降りれば
瀬木さんが誰かと話していたので
そちらへ向かった



『あら、こんにちは』


見知らぬ女性が私に気付いたのか
笑顔を向けてくれたので
慌てて頭を下げた


お母さんと同じくらいの年齢かな‥
穏やかな雰囲気で、優しそうだ。



『立花、ここの管理とお世話を
 任せてる仲さん。』


「あ、は、初めまして、立花 日和です。
 お世話になります」


人柄の良さそうな仲さんは、
私達がここにいる間の
食事や買い出し
掃除や洗濯、シーツの交換、
などを手伝ってくれるらしい


てっきり
ここでも自分達だけで
やると思っていたから
慣れている人がいて嬉しくなる


「‥わぁ‥‥素敵」


開放的な窓に面したリビングは
暖炉も設置されている
素敵な空間だった


別荘になんて来たことないけれど、
こんな静かで落ち着いた空間なら
瀬木さんが仕事したいって思うのも
納得できる


『3日間は友達と過ごしていいよ。』


「えっ、でも……」


『時間はまだあるし、
 友達と過ごせばいいよ。
 俺も仕事を少し片付けたいから』


「はい、分かりました。
 お言葉に甘えてそうします、
 ありがとうございます。」


瀬木さんに頭を下げて、
早速彩のもとへと向かった
  
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