恋愛日和 いつの日か巡り会うその日まで
先輩が口にした言葉が信じられなくて、
涙を流しながらゆっくりと顔を見上げた



「‥‥ずっと
 あの日のことを忘れない日は
 …なかっ…た。
 でも、私は子供で…ヒック………
 転校するしかなくて……辛くて
 先輩のこと忘れたくて………」


親指が涙を端に避けてくれるのに
全然涙が止まらない……


真剣に私に想いを伝えてくれたから
もっとしっかり伝えたいのに
先輩が優しい顔をしてるから
嗚咽が止まらず泣いてしまう




「‥大嫌いなんて……
 二度と‥ヒック‥‥
 顔も見たくないなんて嘘です。
 出会わなければ‥‥良かったなんて
 ……酷いこと言って‥
 ‥ヒック‥‥ごめんなさっ‥」



『ん、分かってる。』



「私も……初めて会った…ヒック……
 あの日から今も先輩にずっと
 ………‥‥‥ずっと恋してます。」


6年経った今、
ようやく言えた言葉に
胸の中がすーっと軽くなり
重い鎖が切れていく



『‥‥‥やっと聞けた』


瀬木さんが私をそのまま引き寄せて
腕の中に閉じ込めれば、
小さな安堵の溜め息が聞こえた


軽くなった心と、繋がった心が
この腕の中で溶けてしまいそうだ‥


こんなにも私を大切に
思ってくれていたなんて知らなかった


この腕の中にこうして
包まれる日が来るなんて
思ってもみなかった。


大好きでどうしようもない人に
思いを伝えることが出来るなんて
思ってもみなかった‥‥



瀬木さん‥‥ううん‥
先輩‥‥
本当にありがとうございます

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