恋愛日和 いつの日か巡り会うその日まで
「あの頃の先輩の彼女……
 素敵な人でしたね。
 実は私の憧れでした。」


あれから瀬木さんと暫く何もせずに、
鳥の囀りを聞いたり白樺の木々の
間から差し込む日差しを眺めていた



図書室に来る彼女を見て微笑む
先輩の笑顔が大好きだったから、
私は彼女の事が
一度も嫌いにはならなかった。


『‥‥彼女?……誰のこと?』


えっ?


驚いた私は、
瀬木さんの腕の中から抜け出す


「先輩あの頃、毎日図書室で
 彼女を待ってましたよね?
 ‥すごくキレイな人でしたから
 今でも覚えています」



『…………プッ……アッハッハ……』


えっ?
ええっ!?


なんで笑ってるの?
私何かおかしいこと言った?


不安になる私を他所に
こんなに声を出して笑う
瀬木さんを見るのが
初めてで驚いてしまう


『はぁ、残念‥‥‥
 あれは兄貴の彼女だよ』


「えっ!?………
 でも先輩、彼女が来ると
 嬉しそうに笑ってましたし
 2人でいつも帰ってましたよね?」


嘘でしょ‥‥
てっきり恋人同士だと思ったし
まわりの子たちもみんな
そう言っていたから信じてた。




『フッ‥。杏奈は生まれた時からの
 幼馴染みだから仲はいいさ。
 心配性の社会人の兄貴に頼まれて
 男よけで登下校は一緒にしてたけど、
 まさか………勘違いしてた?』



「……………」


そんな………


だって‥どう見ても
お似合いの恋人同士にしか
見えなかったもん


とんだ勘違いをしていたことに
恥ずかしくて俯く私に
もう一度手がのびて頬を包まれる




『立花、キスしていい?』


ドキン

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