恋愛日和 いつの日か巡り会うその日まで

都内では暑くてのんびり
仕事が出来ないからと
瀬木さんはここに来てるのに、
アシスタントとして業務を
遅らせたことは失格な行為だ



「どうぞ……何か食べられますか?」


熱いお湯でおとしたブラックコーヒーを
新聞に目を通す彼の前に置いた


眼鏡もかけたままだし……
まだどれくらいお仕事が
残ってるのかな‥‥


『ありがと‥
 座って一緒に食べよう。
 仲さんお腹すいたから
 パン焼いてもらえる?』


『はい、少し待ってて下さいね』


良かった……
今日は食べてくれるんだ。


昨日沢山無理をさせて
心配をかけてしまったから
すごく疲れてるはず


これからはもっと
力になれるよう頑張りたいな‥


瀬木さんが完食しただけで
とても安心した私は片付けをしていた


いつもは言葉が足りない瀬木さんが、
昨日はあんなに私に思いを伝えてくれた


だから私は、
任された仕事をまずはきちんとやろう。
それが瀬木さんの願いだから。



それにしても眠そう…‥
大きな欠伸をしてる姿に
また倒れないか心配してしまう



シャワーに向かった瀬木さんが
いないうちに、昨日のように
ベッドシーツを変え終えた私は
2階の掃除も終えて
瀬木さんの仕事部屋を再び訪れた



『昨日の続きからやってて』


「はい、分かりました」


頭に置かれた手がくすぐったくて
恥ずかしくて俯く



昨日と同じなのに
どこか違う感情にまだ慣れないのだ



『俺は少しだけ寝るから
 出来たら起こして』


そう言って眼鏡をはずすと
ベッドのシーツに潜った瀬木さん


良かった‥‥
本当に不規則でハードな
お仕事だからこそ
寝れるときに寝させてあげたいと思う


よし、
イメージトレーニング
今日も頑張ろう……


イメージトレーニングをすることで、
自分の考え方や欠点も
見えてきたから面白い


『立花』


「は、はい!どうかされました?」


デスクから顔をずらして見れば、
ベッドからこちらに向けられた
綺麗な顔にドクンと鼓動が高鳴る


『6問目やり直し』


6問目………?


「ツッ!!」


『おやすみ』


答えを見た私が
瀬木さんの方に視線を向ければ
小さく笑った後
瞳を閉じてしまった

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