恋愛日和 いつの日か巡り会うその日まで
荷物をどさっと玄関に置いた2人は
リビングの方へ向かうと
仲さんに挨拶をしていた


和木さん何で瀬木さんが
イライラしてることが
分かったんだろう……?



『2人ともいらっしゃい。
 コーヒーでいいかしら?』


『ありがとうございます。』


「仲さんお手伝いします。」


私は2人にソファに座ってもらい
淹れたてのコーヒーと
仲さん特製のロールケーキを出した



「本当に瀬木さんのこと
 呼ばなくていいんですか?」


『いいよ。俺達日程を前倒しで来たから
 アイツ今頃必死に
 書いてるだろうから。』



前倒しって………
そっか‥‥‥
高城さんたちが来るということは、
自動的に原稿を回収に
来たということだよね。


『スケジュールが合わなくて
 予定より早く来たから
 先生が怒ってるのは分かるのよ』


凄い………
長年の付き合いだからこそ
姿を見なくてもわかってしまうんだ。


2人の方が瀬木さんの事を
分かっているのが
少しだけ羨ましくなる



『はい、これ、お土産』


「わぁ、いいんですか?」


取っ手のついた大きな紙袋を
和木さんに貰って中を覗いた


「重いと思ったらこれ
 ……………お酒ばっかりですね」


『酷いなー日和ちゃん。
 ちゃんとチーズやハムやナッツも
 買ってきてあるから』


「……………プッ」


楽しそうに話す
和木さんにおかしくなって
私も一緒に笑ってしまった。
こんな明るい2人がほんとに大好きだ


あれ?
そう言えば‥‥
部屋ってどうするんだろう


私がお兄ちゃんのいた部屋に
1人で今いるけど
そうすると高城さんたちが自動的に
ツインになってしまう


私が高城さんと
ツインになればいいのかな?




カチャ


「(あ………)」


タイミングよく
部屋から出てきた瀬木さんに
みんなが視線を向ければ、
綺麗な顔の眉間にかなり
皺が寄った状態だ



『よお、瀬木先生、気分はどうだ?』


『‥‥は?最悪だろ。』



私の隣に腰をおろした瀬木さんは、
2人を見ることもなく
すぐに瞳を閉じてしまった



「瀬木さん、コーヒー飲む?」


『ん‥‥悪い。甘めにして』



珍しくブラックじゃないなんて
糖分を体が求めてるのだろうか?
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