恋愛日和 いつの日か巡り会うその日まで
ロールケーキを食べ終えた瀬木さんは、
立ち上がると仕事部屋へと
向かってしまったので慌てて追いかけた



「瀬木さん!」


『ん?』


デスクに積み上げられた本や
印刷したであろう資料が
散らばるデスクを見た私は
そこに入るのを躊躇った


「あの‥‥‥
 締め切りまで3日しかないですし、
 今回は私のページを足すのは
 無理だと思います。」



『‥‥立花。こっちにおいで』



「せ、瀬木さん!?」


『疲れたから充電させて』



近づくと抱き締めるというよりも
もたれかかってきた大きな体を
支えることになった私


155センチ程しかない私に対して
180センチはある体はとても大きい
から支えるのが大変だ‥‥



「瀬木さん……
 無理しすぎたらまた倒れるよ?」


背中を叩いてあやしていると、
瀬木さんは体を起こして
私を抱きしめてくれた



『立花に任せたいから大丈夫。
 もう少しこうしてて‥‥‥』



ドクン




『ふーん』

『へぇ………そういうこと』


えっ?‥‥‥!!


聞こえて来た声に慌てると
ドアの入り口でニヤニヤしている
二人と思いっきり目が合った


「瀬木さん!!
 高城さんたちいるよ!!!」



『いい。ほっとけ』


こんな状況見られてて
ほっとける訳ないでしょ!!



強引に瀬木さんの体を引き離した私は、
2人を部屋から押し出して
リビングへ向かわせた



ど、どうしよう……


絶対見られたよね?
というか見てたしニヤついてたし
なんなら笑ってたし‥


『ふふ‥‥日和ちゃん。
 いつの間に隼人と
 そんなことになってたの?』


未だに顔が
真っ赤であろう私は
2人の背中を押しながら
離れからの廊下を歩きながら俯いた


「ち、違いますから!」


何とか元いたリビングに
2人を連れ帰った私はすぐさま
拘束されソファに連行された



『で?』


「……‥‥」



片側のソファに
大の大人が3人窮屈に座り
悪質な取り調べ感がすごい状態に
冷や汗が出そうだ。


『ま、何となく?
 隼人がまずマンションに
 女なんか入れる時点で
 おかしいなとは思ったけどな?』



『そうよね‥‥
 ハウスクリーニングも解約して
 なんとか日和ちゃんを
 側に置いときたい感が
 すごーーーーくあったしね』





ここから逃げ出したいのに、
両腕に絡みついた腕は解かれそうもなく
私は何も言えないままになっていた

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