恋愛日和 いつの日か巡り会うその日まで
カチャ


静かに仕事部屋に戻れば
気持ち良さそうに眠る瀬木さんが
視界に映り愛しい気持ちが込み上がる


大切な人と本でしか繋がっていないから
何処かで読んでくれればいいって‥‥



私‥先輩にまた会えたんだね。
やっぱり本を好きでいて良かった‥
本が先輩に私を結びつけてくれたから、
閉じ込めた思いも今は話せてよかった。



デスクに静かに腰掛けた私は
部屋から持ってきたノートを開いて
目の前に写真を置いた


ありのまま
私らしい気持ちで書いてみよう。
たとえ駄目でも、私が先輩に伝えたい
気持ちを素直に書いてみたい


瀬木さんにどうしようもなく
本当は抱きつきたいけど、
集中してノートにペンを走らせる



たった一ページで
こんなに悩んでるのに、
作家や小説家、
漫画家の人達のような物書きを
お仕事にしてる人は
何頁にもよる構成をよく期間内に
作り上げるものだ



それから暫くそこで没頭していれば、
シーツが擦れる音がしてベッドから
起き上がる瀬木さんと目が合った




「眠れましたか?」


『ん………寝た。』


時計を見れば寝たと
言っても3時間ほど。
仮眠状態に近い程度で心配になる



『‥‥あいつら起きてた?』


「うん。和木さんとは
 さっきテラスでずっと話してたから
 起きてたと思うけど高城さんは」


『和木と二人で?』


「うん?……そうだよ」


こちらに歩いてきた彼は、
座ったままの私を
後ろから抱き締めてくる


「瀬木さん!!重い……!!」


『ずるい……
 俺も立花ともっと話したいのに』


ドキン


寝起きのせいなのか
少しだけゆっくりとした
話し方と石鹸の香りに
色気さえ感じてしまう


「仕事が終わったら‥
 一緒にテラスで沢山話そうね」


『………』


「わっ!!」


クルリと椅子を回されたかと思えば
抱っこされてしまった私


『もうちょっと寝る』



抱き抱えられた腕の中で
恥ずかしさのあまり暴れる私を
無視して簡単にベッドに降ろすと、
後ろからすっぽり包まれ動けなくなった



逃げないようにわざとなのか
少しだけ力を込めた腕が
私のお腹を引き寄せる


「せ、瀬木さん!!」


『立花は無防備過ぎ‥‥
 自分のこと分かってない‥』


まだやっと昨日
思いを伝えれたばかりなのに、
耳元に触れる唇に体中に力が入る


抱きしめたいとは思っても
やっぱり緊張が増して胸の鼓動が
激しくなっていく



『‥日和‥‥好きだよ。』


ドクン
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