恋愛日和 いつの日か巡り会うその日まで
多分だけど
声のトーンで怒ってるって
何となく分かったから‥‥


コーヒーをおかわりしに
来たのが分かったから
私はすぐにキッチンへと向かった。


「瀬木さんコーヒー飲み過ぎです。
 ‥‥何か食べてからじゃないと
 胃がやられます。」



カチャ


『あ……せ、瀬木先生! 』


トイレから戻った弥生ちゃんが
部屋から出てきてた瀬木さんを目の前に
真っ赤になっている


『あの……!!
 私先生の本全部持ってます!!
 次の作品も楽しみにしてます。』



『‥‥へぇ全部?
 …それはありがとう。嬉しいよ』


えっ!!


私を無視するかのように
歩き出した瀬木さんは私の目の前で
弥生ちゃんの頭に手を軽く置いた



ドスンと音を立てた後
思わず麻の豆袋を落として
いた事にハッとするも、
豆の散らばる音で
やっと我に帰り息をし始めた私


彩が驚いて目をさませば
私の方を見てすぐに駆け寄ってきた



『日和、何してんの!』


「だ、大丈夫!ごめん‥‥‥ツッッ」


ここまで言って
豆を拾う手に滴が溢れてるのに
私も彩も気が付いた


駄目だ………ここで泣いたら


私はバレないように目を擦り
落とした豆を何とか広い集めていく




『そうだ!!
 瀬木さんは今日は午後からここで
 打ち合わせの仕事あるって
 言ってたから私たち帰ります!
 2時間近く勉強出来たし
 助かりました!!もう、日和も
 体調悪いなら言いなさいよ。』


えっ?
………彩?


突然何を言い出すのかと上を見あげれば
少しだけ笑った彩が私の頭を撫でた


『瀬木さん
 それじゃあ私たち帰りますね。
 安藤くんと、弥生ちゃんも帰るよ?』


『えっ?だって立花は?』


『いいから。
 瀬木さん体調悪そうなので
 あとお願いします』


『‥‥ああ』


『先生……!!
 今度本の感想聞いて下さい、
 お願いします。』


ドキン


力が入らなくてその場で
泣き始めてしまった私に
多分彩は気付いてる


ごめんね彩……


ガチャン


みんなが片付けをして
出ていってしまうまで、
そこから立ち上がれない私に
ようやく触れた手に体が強張る


『いつまでそうしてるの?』


「……ごめんなさ……」


勝手に泣いて大事な友達にまで
余計な気を使わせて私は最低だ


カウンターキッチンの合間で
顔を上げれない私に
背後から伸びた手が体を引き寄せる


『なんで告白なんかされてるの?』


「ウッ………ヒック」


我慢してた私は
漏れる嗚咽を止められず、
後ろを振り返ることが出来ない。


そんな私を他所に
瀬木さんは軽々と私を抱えると
立ち上がり歩き始めた


「ど…こ行く…の?」


『俺の部屋』


ドクン



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