夜に沈む君の星になりたい。
ふと外を見るといつの間にか時間が経っていて、暗くなっている。

会計を済ませ店を出ると風が少し涼しい。

街灯と店の明かりでまぶしい街を抜けるといつもの静かな世界。

歩道橋に人影が見えて駆け寄る。

「唯織っ」

唯織は少し驚いた顔をしている。

「今日は、来ないかと思ってた」

「来るよ、唯織に報告しなくちゃだし、もうルーティーンみたいになってるから」

「ルーティーン、か」

「え?」

唯織がぼそっと何かを言ったのは聞き取れなかった。

「俺は、佐那に会いたいと思って来たよ」

「え?」

さっきと同じ発音でも、そこに含まれる意味は全く違う。

「あー、ごめん、何でもない、忘れて」
< 28 / 47 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop