夜に沈む君の星になりたい。
私は唯織について知らない。

高3ってことと仲のいい友達がいることくらい。

「俺は、学校だとそうだなぁ、よく馬鹿なことやってるよ。先生にイタズラしたりするし」

「へえ」

「でも最近はもっぱら聞き役かな。イタズラもしてない」

「そうなの?」

「うん」

唯織は前の私がしてたみたいに歩道橋の下を走る車を眺めている。

その瞳に微かに寂しさが宿ったように見えた。

「…大丈夫?」

「え?あ、うん。何が?」

「ううん、なんでもない」

踏み込んではいけなさそうな雰囲気に後ずさってしまう。

「そろそろ、帰ろっか」

「うん」

「あ、ごめん。明日妹が来るんだ、だからここには来れない、ごめんね」

「全然、大丈夫。妹さんいたんだ」

「うん」
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