夜に沈む君の星になりたい。
「じゃあ、お兄ちゃん、また来るね」

『ありがとう、水季』

水季がいなくなったあと、俺は水季の話と、いつも歩道橋で会う彼女の姿を目の裏に浮かべた。

ノートを貸してくれる、一緒にパンケーキを食べている。

でも周りには誰もいなくて、世界には俺と2人だけ。

『ああ、愛おしい』

俺には決して実現できない世界。

まぶたの裏でこちらに向けてくれる笑顔がまぶしい。

いつも歩道橋で見る笑顔と同じ。

俺は泣きそうになりながらそのその笑顔を見ていることしかできない。

俺は像を消して、闇に沈んだ。
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