夜に沈む君の星になりたい。
唯織は体を離してにやっと笑った。

「仕返し」

まだ耳を抑えたまま私は唯織のお腹に拳をついた。

でも力の入っていない私の拳は痛くなかったらしい。

出されたままの私の手を握って、うつむく顔を覗いてくる。

「やっぱりかわいい」

唯織は肩を揺らして笑っている。

「ちょっと!からかわないでよ」

「からかってないよ、ほんとに可愛い」

「もう…」

私の記憶の限り、可愛いとはこの前まで言われたことがなかった。

両親はたぶん言ったことがないし、小学校、中学校時代もそもそも仲いい友達がいないから。

最近、水季や麻央が言う可愛いはなんだかくすぐったい感じだけど、唯織とはいえ男子に言われるのはなんだかまた違う感覚になる。
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