夜に沈む君の星になりたい。
…数秒の沈黙。

「えっ、そっち系?!」

水季が目を見開いて私を見ている。

「そっち系、というと…」

「佐那の口から恋バナが聞けるなんて…そういうの絶対興味ないタイプだと思ってた…」

「興味ないわけじゃないけど、これって恋バナなの?」

「恋バナだよぉ。で、相手は?どんな人?」

「えっと、2個上の先輩で、よく塾の帰りに会って」

「同じ塾の人?」

「いや、そういうわけじゃないんだけど…」

思い返してみると、私は唯織のことを全然知らない。

名前と、歳と、それから…。

毎日のように会っているせいで、知った気になっていた。

「それ、大丈夫なやつだよね?」

麻央が疑いの目を向けてくる。
< 40 / 47 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop