強面のせいでお見合い8連敗の社長は、庇護欲強めの恋愛初心者でした
 その日はいちごショートが売り切れていた。あの怖いお客様が来ませんようにと思っていたら入店してきて、案の定いちごショートを注文された。

『申し訳ありません。本日はいちごショートが完売してしまいました』

『そうか』

『代わりに新メニューはいかがでしょうか?』

 彼は残念そうにして少し考えてから質問してきた。

『どんなケーキですか?』

『チェリーケーキです。実は私が考えました』

 私はデコレーションの手伝いをさせてもらい、そのうちメニューを考えさせてもらえたのだ。

『では、それを』

『かしこまりました』

 緊張しながらチェリーケーキを運んだ。彼は無表情のまま完食。

 最後にレジをする時に『ケーキが好きだという気持ちが伝わってきた』と言ってくれた。

< 5 / 91 >

この作品をシェア

pagetop