強面のせいでお見合い8連敗の社長は、庇護欲強めの恋愛初心者でした
 それから数日後、彼は副社長に就任したのだ。

 カフェで働いていた私たちは、かなりの驚きに包まれたのである。

 なんせ、ただの怖い無愛想な人だと思っていたのだから……。

 彼が副社長に就任してからは多忙なのかカフェには来なくなった。

 私は相変わらず大好きなケーキ作りに関わることができて楽しく仕事をしていたが、新型ウイルスや不景気のせいでお客様が来なくなってしまったのだ。

 売上が落ち存続は難しくなり、カフェが閉店することになった。

 契約社員だった私はクビになることを覚悟していた。このウイルスに勝てたら、またパティシエの仕事をしたい。それまではできる仕事で食いつないでいこうと決意した。

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