【悲報】冷徹上司の毒牙にかかり推しごとがはかどらない件について
その日の退勤後、社長の高級外車に一緒に乗って社長の自宅へ行った。

タワーマンションの一角にある部屋は一面がガラス窓になっていて、煌びやかな夜景が望めた。

リビングにはすでにオードブルとお酒が用意されていた。

ここのコンシェルジュに頼めば、こういった簡単なメニューとお酒は用意してくれるとのことだった。

ちなみにマンションの運営会社の同系列会社で斡旋しているハウスキーパーを利用して料理や家事もやってもらっているとのことで、部屋もモデルルームのように綺麗でスタイリッシュに保たれていた。

社長は唖然として立ち尽くしている私にカウチに座るよう勧めた。

慣れた動きでグラスにシャンパンを注ぎ私にくれる。

「今日もお疲れ様」

社長のような容姿をした男性が夜景を背景にグラスを掲げる様子を目前にすると、映画のワンシーンを見ているような気になる。

「ありがとうございます」

きんとグラスが重なる小さな音も、社長の車に乗った時からずっと緊張していた私にはドキっとさせられるものだった。
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