【悲報】冷徹上司の毒牙にかかり推しごとがはかどらない件について
「なんだ?」
「いえ、今の言葉、ベルト様の台詞にそっくりだなって」

ふふふと笑い出した彼女に俺は少し戸惑う。

「ひとりで勝手に喜ぶな」
「あのもう一回言ってもらえます?」
「言わない。仕事しろ」
「はい。では若手社員との定例ミーティングですが、次は来週の木曜でよろしいでしょうか?」

 彼女はすぐさま切り替えると、淡々とした口調で指示をあおいだ。
 社員とのコミュニケーションのために最近始めた若手社員との食事会についてだった。

「ちなみに申込が増えているので場所をもう少し広い場所に変える必要があるかと思います。適当なお店を見繕っておきましょうか」
「ああ頼む」
「承知いたしました。大盛況ですね。社長とじかにお話しできるって喜ぶ声をよく聞きますよ」
「そうか、ならよかった」
「社長は敏腕だけれどもオーラがありすぎて話しかけづらいというイメージを社員は持っていたようでしたので、すごくいい企画だと思います」
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