【悲報】冷徹上司の毒牙にかかり推しごとがはかどらない件について
話しを持ち掛けてきたのは彼女の父親だった。
いわゆる政略結婚というやつで、彼が経営する会社が我が社の取引先だったために応じたものだった。
だが俺は美香を好きになった。だから今から三か月前に婚約破棄の申し入れをした。
だが先方はこれを受け入れてはくれなかった。
この舞佳さんが俺のことをとても気に入っているためだった。
それから今に至るまで俺は丁寧に時間をかけて自分の気持ちを伝え続けているが、彼女とその父親は強情だった。
特に舞佳さんからは頻繁に「会って私の気持ちを伝えたい。どうしてもあなたに振り向いてもらいたい」と連絡が来るようになった。
こうして会社の電話にまで掛かってくるようになり、俺は困っていた。
「何度もお伝えしていますが俺は……」
『あなたが不特定多数の女性と付き合っているという噂については半信半疑でした。でもあなたの口から他に思う人がいると聞いた時、私の気持ちはさらにあなたへと傾いてしまったんです。だってあなたが特定の女性を愛せるなら、私がその座についてもおかしくはないでしょう? 見た限り、私が彼女より劣っている点は見当たりませんでしたし』
舞佳さんの強気な発言に俺は閉口した。
しかも美香のことも知っているようだった。俺の身辺をも探っていることを知って、さすがに背筋が冷えた。
彼女はとても美しく社長令嬢らしい気品がある一方で、自尊心がとても強く自己中心的な言動をする女性だった。
冷ややかな美香への評価からも、彼女に何か起きそうで気掛かりだ。
俺は語気を強めた。
いわゆる政略結婚というやつで、彼が経営する会社が我が社の取引先だったために応じたものだった。
だが俺は美香を好きになった。だから今から三か月前に婚約破棄の申し入れをした。
だが先方はこれを受け入れてはくれなかった。
この舞佳さんが俺のことをとても気に入っているためだった。
それから今に至るまで俺は丁寧に時間をかけて自分の気持ちを伝え続けているが、彼女とその父親は強情だった。
特に舞佳さんからは頻繁に「会って私の気持ちを伝えたい。どうしてもあなたに振り向いてもらいたい」と連絡が来るようになった。
こうして会社の電話にまで掛かってくるようになり、俺は困っていた。
「何度もお伝えしていますが俺は……」
『あなたが不特定多数の女性と付き合っているという噂については半信半疑でした。でもあなたの口から他に思う人がいると聞いた時、私の気持ちはさらにあなたへと傾いてしまったんです。だってあなたが特定の女性を愛せるなら、私がその座についてもおかしくはないでしょう? 見た限り、私が彼女より劣っている点は見当たりませんでしたし』
舞佳さんの強気な発言に俺は閉口した。
しかも美香のことも知っているようだった。俺の身辺をも探っていることを知って、さすがに背筋が冷えた。
彼女はとても美しく社長令嬢らしい気品がある一方で、自尊心がとても強く自己中心的な言動をする女性だった。
冷ややかな美香への評価からも、彼女に何か起きそうで気掛かりだ。
俺は語気を強めた。