【悲報】冷徹上司の毒牙にかかり推しごとがはかどらない件について
社長にキスされたとわかって心臓が壊れそうになる。腕を突っぱねて逃れようとした。

「どうした……。いつもは大人しくされていただろ?」

あなたのことが好きになってしまったから――とは言えず、私は俯くことしかできない。

「顔が真っ赤だ。かわいいな」
「からかうのはやめてください」
「からかってない。ぜんぶ俺の本心だ……」

顔を両手で包まれ再びキスされる。

今夜の社長はいつもと違った。

情熱的な言葉を言っては私の反応をうかがっている。

私はそのたびに戸惑って胸を高鳴らせて苦しんだ。

思わせぶりなことは辞めて欲しかった。だって社長は私のことなど本気で――。

「愛している」

 思わぬ言葉が聞こえて、私は耳を疑った。
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