【悲報】冷徹上司の毒牙にかかり推しごとがはかどらない件について
押し黙る私に社長はゆっくりと言葉を紡いだ。

「俺の女性関係の噂が気になるんだろう? 無理はないな……。これは面倒がって悪い噂を野放しにしてしまった俺の自業自得だと思っている。でも俺の言うことは真実だ。俺は君を心から愛している。どうか俺と付き合ってくれないか」

社長の真剣な表情や声からは嘘偽りは感じられなかった。

信じたい。

その想いに突き動かされ、私は小さくうなずいた。

社長の顔に喜びの表情が広がった。

今までけして見たことのないその幸せそうな笑みに、私の張りつめていた心も解放される。

社長に強く抱き締めしめられて、私もその広い背中に腕を回した。

ベッドに横たえられて濃厚なキスを受け入れる。

胸が壊れそうに高鳴る。

そのあまりに激しい鼓動に体が散り散りになってしまいそうで、私は社長の首に抱きつくと言った。

「あ、あの、シャワーいきませんか?」

シャワーに入ってインターバルしたかった。

「今すぐ君を抱きたいが――君が行きたいのならいいよ」

そう言うと、社長はネクタイを外してジャケットとシャツを脱ぎ捨てた。
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