【悲報】冷徹上司の毒牙にかかり推しごとがはかどらない件について
その後ブランチをとりに行こうということになり、着替えをするために一度互いの家に帰ることになった。

悠悟さんがフロントとやり取りしているのを待っていると、突然若い女性に話しかけられた。

「突然ごめんなさい。私、会田舞佳と申します。少しお時間をいただいてよろしいでしょうか」

声と名前に覚えがあった。
悠悟さんに電話をかけてきたあの若い女性だった。

彼女は想像していた以上に綺麗な人だった。
身につけている洋服にも高級感が感じられてお嬢様然としていた。

どうして彼女がここに? 悠悟さんではなく私に用事があるってどういうわけだろう?

嫌な予感を覚える私に、会田さんは少し物憂げな表情を浮かべながら言った。

「実はお話したいことがあるんです。悠悟さんのことで」
「え? 悠悟さんの……?」

彼と彼女の関係がずっと気になっていた。
意を決して、私は小さくうなずいた。

「単刀直入に言います。もうこれ以上悠悟さんに近付かないでください。私と彼は婚約をしているんです」
「婚約……?」

唐突に打ち明けられ、私の頭は殴られたかのように真っ白になった。
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