【悲報】冷徹上司の毒牙にかかり推しごとがはかどらない件について
「これで俺は君を堂々と愛せるということだな」

会社に戻って晴れ晴れとした顔で言う悠悟さんだったけれども、すでに私との交際は会社でもおおやけにしていてすでに十分堂々としていた。

社内で流れている悠悟さんの女性関係の悪い噂を払拭するためすごく大切に私に接してくれるのは嬉しいのだけれども、私としては気恥ずかしくて仕事に身が入らない。

ということを言うと、彼は顔をしかめた。

「言っておくが君に秘書を辞めさせるつもりはないからな」
「そのつもりはありません。これまで通り微力ながらお仕えいたします」
「よかった。これで昼夜関係なく君と一緒にいられるな……」

腰に手を回されて低い声で言われるとぞわりとなる。

「あ、あの昼間はお仕事としてお仕えしますって意味ですからね」

社長はわざとらしく眉を上げて返した。

「そのつもりで言っているが。何を期待しているんだ?」
「き、期待なんてっ、んっ」

唇を塞がれて、続きの言葉は言えなかった。
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