美しい海はどこまでも
え、なになになになに?!……もしかして、私の写真を撮った?
「…顔が怖いよ?大丈夫だって。俺が撮ったのは海の写真だよ」
私の心配…が伝わったようだけど、顔が怖いって酷すぎない?女子に言う言葉じゃないでしょ。
まぁ、それは置いといて、その写真が欲しいかも……って思ったけど、今は無理だし学校も無理だよね。
はぁ。しょうがない。綺麗な景色は視界に焼き付けておけば良いか……
「…何でこっちについて来たの?」
「写真、欲しいでしょ?」
え、それだけのために来てくれてるの?申し訳ないけど、それ以上に嬉しい。
「ははは、面白いね。夏葉さんって」
……また顔に出ていたのだろうか。少しは表情もコントロールできたらいいな……
このままじゃ、顔で会話できると言われてしまうかもしれない。それは嫌だ。
なんやかんやいって、写真が手に入って嬉しさを隠せなかった。
「ほんっとうにありがとう!これ、LINEのアイコンにしようかな。あ、待ち受け画面も良いかも」
この画像は宝物だ。こんなに綺麗な景色、なかなかお目にできない。
少しでも長い時間、視界に入れておきたいな。って考えてたら、佐藤さんが「夏葉さん、LINEやってるの?」と聞いて来た。
「うん。やってるけど何で?」
「あ、えーと、LINE交換しよう?」
「あ、何だそんなこと?全然良いよ」
なんか、もっと深刻な内容だったりするのかと思っていたから呆気なかった。
そのまま交換して佐藤さんは帰って行った。
私はしばらく、佐藤さんに貰ったあの綺麗な景色が映った写真を眺めていた。
……だって、なぜか幸せになれるような気がしたから。