美しい海はどこまでも


「はぁ?美記こそ、さっきまで調子に乗ってたじゃん。初恋の子?美記の性格知ったら引いちゃいそう」

……また心がモヤモヤしたけど、気にしない気にしない。

「引くわけねえだろ。俺、顔良いし?一途だから」

「自分で顔が良いって言うな。そう言う性格だとマジで彼女出来ないよ?」

「だから、初恋の子にさえ振り向いてくれればそれで良いの!」

……私のことなんて良いんだ。そうだよね。初恋の子、こんなに想われても気付かないの?…バカじゃん?

とか思っちゃう自分が、一番大っ嫌い!こんなんが美記の隣に並べないのも納得だよね。

「…なんかごめん」

「え?」

「いや、その、夏葉が少しテンション下がったのが分かったから……」

語尾が徐々に弱くなってモゴモゴ話す彼は、やっぱりずるい。

「私は大丈夫!ほら、こんなこと話してる時間があるなら初恋の子の所へ行っておいでよ」

そう言って、私は美記の背中を押す。「ほら、行って来なよ」と。でも、なかなか動く気配がない。

あ、愛美がこっちを見てる。……ギャルまでも、見てる。

あ、やっちゃったかもしれない。

「…ん?夏葉?どうしたの?」

「あ、いや、何でもない!と、とにかく私は応援してるからね?」

無理だ。この教室には居られない。
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