美しい海はどこまでも
色々と気まずいし、視線には耐えられそうにない。愛美は愛美で目をキラキラさせているし?
「私、ちょっとトイレに行くね?」
私は逃げるようにしてトイレに駆け込んだ。今日は濃すぎる一日で、私はもうヘトヘトに疲れている。
それに、私はみんなに嫌われているかもしれない。そんな中で、どんな顔をしていれば良いのか分かんないよ……
ずっとトイレにこもっていたら、いつの間にか授業が始まる時間になっていた。
チャイムが鳴り響く校内に、私は独りぼっちのような感覚になった。
……もういいや。このまま授業をサボっちゃえ!
と意気込んで、保健室に入ろうとした。いや、正確に言えば入ってしまった。
私の目の前に広がる光景は、殺風景な保健室……
……ではなく、イチャつくカップルらしい人だった。
私が保健室に入ったら、そりゃあ痛い目線が向けられる。……お邪魔してすみませんでした!
と謝ろうとしたその時、男子がある言葉を口にする。
「あ、俺、キミに一目惚れしちゃった」
……はい?え、あなたには彼女さんがいますよね?しかも、あなた手を出しちゃっているじゃないですか。
女子の服が乱れてますけど?恥ずかしそうに、でも怒った顔をしている。
「ごめん。上之、俺と別れよう?俺、二股したくないんだ。上之もそう言うの、嫌だろ?」
これはどんな展開だよ……目の前でカップルが私のせいで(?)別れようとしている。
この男子は自分勝手すぎない?もっと自分の彼女のこと大切にしなよ……
「私、深谷君と別れなくちゃいけないの?私のこと、好きだって言ってくれたのにっ」
あーあーあー、もう、こう言うのうんざりなんですけど?
「私、あなたと付き合うつもりなんて微塵もありません。彼女さんのこと、もっと可愛がったらどうです?」
このクズ男の名前、深谷って言うのか……聞いたことないから、同じ学年の人ではなさそうだ。
てか、私の居場所、無くなったんですけど?あなた達のせいで。飛んだ茶番を見せられたなぁ。
ま、もう会うこともないでしょう!と言うことで、さよーなら!
私が保健室を後にすると、例のクズ男が何か言っている声が聞こえた。もちろん私は無視したけどね。