美しい海はどこまでも
……そう言うところだよ。美記、顔はニコニコしてるけど目が笑っていない。
「佐藤サンって面白い人だよねー。俺のオーラで日焼け、するんだよね?そんな事あるわけないって」
「はぁ?違うし。何であんたが俺の名前知ってんの?俺はあんたの名前知らないのに」
「俺は夏葉さんに聞いた。改めて自己紹介します。俺の名前は晴沢海です」
「へぇ、海、かぁ。だからここによくいるの?」
…いやいや、名前が海だからと言ってよくここにいる理由にはならないでしょ!本当にバカだ。
海も、堪えきれずにお腹を抱えて笑っている。はぁ、ある意味、こう言う人が好かれるんだろうなぁ。
ま、彼の場合は自分で女子を避けたんだけど……
「まぁ、とりあえずよろしくね?俺、本当にここしか居場所がないんだ。だから、佐藤サンも誰にも言わないでほしい」
「?別にそれは良いけど、何でここしか居場所がないの?いじめ?」
……無駄にこう言うことばかり鋭いんだから。
「そんなところです。あと、夏葉さんには言ってなかったけど、女避けの意味もあるんすよ」
「ははは、確かに女子ってめんどくさいもんな。夏葉、女子って大変?」
「ちょっとドロドロしている部分はあるけど、良い子はいるからそこまで大変ではないかな。嫉妬深いところは本当にウンザリするけどね。……うん。やっぱ大変!」
もう、あのギャル達とも関わりたくはない。あんな展開はまっぴらごめんだ。
一回男子になってみたいかも。絶対に男子の方が色々と楽そうだもん。夢でも良いから男子になってみたいなぁ。
てか、女避けって、それはつまり、モテたってこと?でも、いじめもされたの?よくわからなくなってきた。
「なるほどね。海はそのルックスのせいで避けられているけど、女子の一部はカッコいいと思ってるんだろうな。んで、変な女子から身を守るために、性格やオーラも不良感出してるわけね」
「あ、え、その通りです……よし、俺はもう、君たちにはキャラを作らないようにする!」
「うんうん。それが良いそれが良い。キャラ作る分だけストレス溜まるから、少しの間くらい素でいた方が楽だよ」
「俺、決めました。佐藤サンみたいな人になります!」
「はは、おう袈裟だね。憧れの人は夏葉みたいな人の方がいいよ。俺、バカだからさ」
……二人とも笑っているところを見ると、昔からの知り合いのような気がしてくる。
最初はバチバチしてたのに、今ではこれだもんね。美記のバカが雰囲気を穏やかにするんだろうな。
ツッコミ入れる方は、それなりに疲れるけど……