美しい海はどこまでも



「いつの間にか、二人とも仲良くなっちゃって。本当にバカみたい」

「はは、言葉の割には夏葉、めっちゃ笑顔じゃん」

「ふっ、うるさいなぁ。海もそんなニコニコしてないで美記のバカにツッコミ入れなきゃ」

「えぇ?でも、楽しいから。俺、こんなに楽しいの初めてかも」

もう、二人してバカと天然じゃん。私がしっかりしているわけではないと思うけど、私以上の二人だ。

私よりもバカで天然。海なんて、最初にあった頃のイメージが面影すらないよ。

「俺、これから毎日屋上に通おうかな。夏葉もちょくちょく来てるんでしょ?」

「うん。流石に授業をサボりすぎると怪しまれるから、休み時間だったり帰る前にはここに来てる」

「うわぁ、俺、バスケの大会のせいでまだ部活漬けの毎日なんだよ。行けない日の方が多いかも」

「え、佐藤サンってバスケ部に入ってるんだ。凄いね!」

あ、そっか、海には言ってなかったから今の今までに知らなかったんだ。

「俺、ちなみにスタメンなんだ♪」

……さらっと自慢すんな。だけど、凄いとは思う。転校してきたばっかでスタメンだもんなぁ。

中学もやってたらしいけど、私も最近まで全然知らなかった。

「夏葉さんは何部に入ってるの?」

「私は写真部に入ってる。結構自由な部活でね、活動日数も少なめなんだよ?コンテストはあるけどね」

「夏葉は結構写真の腕、凄いんだよ?確か、もう何かのコンテストに入選してなかった?」

あぁ、コンテストのお題が何気ない学校生活、だったやつのことだ。

私は、まだ文字が残っている黒板と夕陽が一緒に映った写真をコンテストに出した。

私としてはずっと海や空の写真しか撮ってなかったから、すごく不安だったんだよね。

結果は良かった方だけど、先輩に優秀賞をもらった人もいる。私はまだ初心者だし、まだまだ未熟者だ。

「へぇ、夏葉さん凄いね!かっこいい。俺、部活に入ってないから写真部に入ろうかな」

「是非是非!写真部、三年と二年の先輩合わせて三人と、一年は私含めて今の所二人なんだ。部員の数が少なくて少し困ってたから、入ってくれたら嬉しい!」

もっと細かく言うと、三年の男子の先輩が二人、二年に女子の先輩が一人。一年は私ともう一人の女子二人。

男女比はそれなりに良いけど、やっぱあと五人くらい欲しいなと思っていたところだった。

しかも、ここで海が入ってくれたら男女比なんて完璧になる。
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