美しい海はどこまでも
「と言うことで我が事務所に合格した三名は、晴沢海、佐藤美記、霜島夏葉」
「「「はいっ」」」
無事に私たちは有名事務所に合格した。なんと、この事務所は試験に合格した三人には早速仕事がもらえる。
だから、私たちには共通の仕事が入った。それは、最近注目され始めた作家さんの小説映画化の仕事。
流石に主演までは行かないけれど、脇役の中でもまぁまぁ役が多いキャラを演じさせてもらえることになった。
この作家さんは私も大好きで、出版される本は全部購入している。
「んじゃ、後の説明は上之と深谷よろしく」
「「はい」」
あ、あれれ?なんか、どこかで見たことのある人たちだ……
「「「あ!」」」
この二人、保健室でイチャイチャしていた人たちだ。だからなんとなく覚えていたんだ…
「え、夏葉、この二人のこと知ってるの?」
「うん。同じ学校の先輩だよ。前に私が保健室に行ったら二人がいたんだ」
「改めまして、私は上之深青梨と言います」
「深谷聖哉だ。またキミと会えて嬉しいよ♪」
……は、ははははは、本当に懲りない人だな。もう上之さんとは別れたのかな?
今でも関係が続いているのなら、今の発言は地雷そのものだ。……美記の顔も怖いし。
でも、上之さんは特に反応せずに、私たちと一緒に事務所へ入ることになった人へ何やら説明をしている。
この事務所は比較的、申し込めば誰でも入れる。だけど、すぐに仕事をもらうには合格しなければいけないのだ。
それを私たちは見事合格した。
「では、本日はこの三人以外の皆さんは解散となります。次は二週間後、再び集まる予定です」
その言葉に返事する人はゼロで、己が優先だ、とでも言うように一斉に帰っていった。
あ、なんとなくこの人たちが不合格だった理由がわかるかも。
「んじゃ、次は俺が説明するよ。三人に配られたその台本、一回開いてみて?見てみて何か気づくことない?」
「一人一人のセリフが結構多いですね。それに、感情を表に出さないキャラが多いです」
「ピーンポーン♪正解!えーと、夏葉サンだったっけ?俺が惚れるだけあるねぇ♪」
この人、わざとかな。彼女さん?の顔見てみてよ。……怒りに満ちているよ?
深谷サンだったっけ?とんでもないクズ男だね。私の目がおかしいわけではなかったみたいだ。
美記は思い切りクズ男のこと睨んでいるし、海も顔をひきつらせている。