美しい海はどこまでも
…ん?でも、私は二人が付き合っているってこと言ってない気がするんだけど?ま、いっか。
「えー、では気を取り直して。セリフは長いけど演技自体は結構簡単だと思うよ?特に、君たちは俺らよりも才能ある。すぐに売れっ子になっちゃうんじゃないかな。今回は青春、恋愛がテーマの作品だけど、大丈夫?」
「「「大丈夫です」」」
「えーと、海くんと夏葉サンがカップル設定で、美記くんはインキャな隠れ王子様役だね。主演のカップルさんはどちらかといえば感情多めだから、君たちは出来るだけ淡々と演技して良いから」
「私も脇役として少し出番があるから、一緒に頑張ろうね!」
……まさか、海とカップル役をすることになるなんて。台本見る限りは主役を応援する二人って感じだけどなぁ。
カップルなのに淡々って、冷めている印象しかないじゃん。
原作はもう少し感情表現豊かなキャラだった気がする……これもドラマ化することになって変更したのかな?
小説と違って、映像は一気にたくさんの情報を教えてくれる。
場所の説明もいらないし、シュチュエーションによっては音楽を流して雰囲気をより際立たせることもできる。
「夏葉さん、今不満に思っているところあるよね?俺、原作読んでるからキャラの性格が変わってるところになかなか納得できなくて……夏葉さんも一緒かな?」
「うん。私も原作読んでるけど、カップルなのにそもそも淡々じゃよくないよ。そりゃ、二人はクールな印象だけど、垣間見えるお茶目さとか省略されてる」
「…二人、気合い入ってる?俺的にはこれくらいが良いんじゃないかって思うよ?だって、全体で見れば結構良い感じだよ。俺さ、結構ドラマが好きでよく見てるんだけど、主役が一番重要なんだと思うんだ。脇役が主役を引き立たせないと、メリハリが無いんだよ」
……美記、結構やるじゃん。これは強がりとかではなく、私は……前に役者をしている時があった。
子役時代、上手くいかなくてすぐに辞めた。
その時も、メリハリは大事だってよく言われていたから、美記には見る目があるんだと思う。
「三人とも、良い関係なんだね!私から見て、三人は凄く活躍する役者になれると思うよ!」
「俺から見ても、その関係羨ましいよ。恋愛とかじゃなくて、お互いの意見を伝え合える関係、大切にした方が良い」
おぉ、深谷サンが真面目なこと言ってる…!少し、本当に少しだけ見直した。