美しい海はどこまでも
そっか、それなら安心だ。美記も清々しいような表情になっている。
「二人とも心配してくれたんだよね?ありがとう。まぁ、次授業に参加する日は来ないと思うけど。でも、ここには毎日来る予定だからさ、これからも来てくれたら嬉しい」
「「あったりまえじゃん!」」
はは、今の美記と私の気持ちや考えていることはきっと同じだ。
だって私たちは
「「三人で一つなんだから」」
ちょうどその時、私たちの間を風が吹いていった。今日は雲一つない快晴。
風が吹くから、照りつける太陽も気にならない。春と勘違いしそうなくらい心地よい空間だ。
「ははは、思い出すと朝のバスケの試合面白すぎたよ!佐藤さんも夏葉さんも笑いながら走りまわってて、少し怖かった。まさか夏葉さんがそこまで運動できるなんて思ってなかったから驚いた」
「私は写真部に入っているからね。海は知らなかったんだ」
「あーあー、俺の彼女が凄すぎて可愛すぎて、本当に独り占めしたい!」
……そういえば朝も私が美記の彼女になっていたな。どういうことか聞こうとして結局うやむやになったけれど。
「ダメだよ独り占めなんて。俺も夏葉さんのこと唯一の女子友だし、関わりが減るのも嫌だ」
「ふーん?海って夏葉のこと好きなの?」
「ん?好きだよ。当たり前でしょ?夏葉さんは他の女子とは違う。魅力的な女の子だよ」
「それって、恋愛観でも好きなの?」
「逆に佐藤さんの方こそどうなんですか?初恋の子がいるんじゃないの?それなのに夏葉さんにも手を出すつもり?」
ちょ、これどういう流れ?海と美記は結局私のことどう思ってるの?
てか、そんなことで喧嘩しないでほしいな。……そもそもこれは喧嘩なのだろうか。
「も、もう良いから二人ともやめて?」
「「これはこっちの話だから無理」」
いやいやいやそこをハモられても……仲が良いんだか悪いんだか。
と、ナイスタイミングでスマホが震えた。画面を見れば事務所の文字。
学校にいるときに連絡が来るなんて珍しいなと思いながらも、私は通話ボタンを押す。
「あ、霜島様ですか?近くに佐藤様と晴沢様もいらっしゃいますか?」
「はい。近くに二人ともいますけど」
私の言葉に反応した二人は会話を中断し、私がスピーカーに変えてから三人でスタッフさんの言葉を待った。