美しい海はどこまでも
てかてか、言うならこっちのセリフだって!
「佐藤さんこそ、めちゃくちゃビジュアル良いじゃん!」
「夏葉さんに褒められるのは嬉しいな♪元気出た」
そ、それは大袈裟じゃないかな?私ごときが、元気出してもらえるような事、出来るはずないって!
結局、その後もああだこうだ言いながら移動教室まで歩いた。
「夏葉、今日さ、私、道琉と帰ることになった!だから一緒に帰れない。ごめん!」
「ううん。いいのいいの!楽しんで?」
「ありがとう友よ♪」
ふふふ、あの二人、上手くいくといいな!道琉と愛美って、めちゃくちゃお似合いだもん!
私がぼっちで帰ることなんて、全然気にならない。むしろ、たまにはいいかなって思ってる。
ゆっくり海を眺めるのも、私にとって楽しみの一つなんだ。
……あれ?
「ヤッホー♪今日も一人なんだね。俺と帰ろう?」
「別にいいけど、私、海も見たいからあんまり会話できないかも」
まさかのまさかの佐藤さんだった。いつにも増してキラキラしているのは、気のせいだと思いたい。
やけに私と関わりたがるなぁ。もしかして、私のことが好きだったり?
いやいや、バカか!そんなわけないない。あったら、その人の目は節穴だ。
可愛くないし、性格もいいわけではないと思う。私といたって、楽しいことなんかないもん。
たまたまだよね?きっと。
「良いよ。俺、夏葉さんの横顔見るから」
はい?だったら、会話をしている方がよっぽどマシだ。
「夏葉さんはその肩くらいの髪型似合ってるし、笑った時の顔は天使だし、そもそもビジュ優勝してる…」
「やっぱ良い。なんか会話しよう?」
「あっははは!切り替え早いね。…じゃ直球に、道琉って愛美サンのこと、好きだよね?」
う、これって言っても良いのかな?でも、ほとんどの人が知ってそうなんだよなぁ。
だって、転校して来たばかりの佐藤さんが気づくくらいだもん。それくらい道琉が分かりやすいんだよね。
うん、言っちゃおう!念は押すけど。
「あまり広めたり、本人に言わないでね?」
「うん、もちろん!」
「二人はさ、……両想いだよ!」
私がそう言った途端、佐藤さんは女の子みたいに「キャー」と叫んだ。
目がキラキラしてる……恋愛ものが好きなんだろうか??意外と乙女だったり?