美しい海はどこまでも
それに、きっとそこまで長い話を演じるわけでもないだろうから……
「良いよ。私たち三人で何か演技しようか。そんなに長い奴は無理だけどね?」
「オッケー。でさ、先生にもし夏葉が良いよって言ってくれたときに、どういうストーリーにするかも決めて欲しいって言われた。暗くないやつなら基本はなんでも良いってさ」
え、それは学校側が大体でも決めてくれるんじゃないの?色々生徒に押し付けすぎだよ先生は。
生徒主体の学校を作りたいって方針らしいけど、先生が楽したいだけじゃんか。
「私はみんなにお任せするよ。…恋愛はとりあえずやめておこうかなって思ってはいるんだけどね」
いやいやもう、恋愛なんてやったら生徒はキャーキャー騒ぐだろうし、保護者もいると思うと恥ずかしい。
用意された台本なら「いや、台本に書いてあったので」と言えばなんとかなる。
だけど今回はストーリーもほとんど自分たちで決めないといけない。
「うわ、こいつら自分たちで恋愛ストーリーやるとかキッショ」なんて言われたら終わりだ。
痛いヤツってレッテルが貼られたりするんだろうな。……被害妄想が過ぎるかもしれないけれど。
「体育祭だしスポーツ系が良いかもね。俺は基本、リレー以外なら喜んで!」
「私は卓球などの対象が小さい感じのスポーツ以外ならなんでも」
「俺は……バレーが一番得意ではあるけど、なんでも良いよ」
ははは、これじゃ決まんないじゃん。結構運動神経が良い三人だから……って、え?!
「海、運動神経良いの?!」
「……何それ。俺のこと馬鹿にすんなよ。運動も勉強も基本的には出来るんだけど」
あ、不良海だ。もしかしたらノリかな?じゃなくて、結構いらついちゃった感じ?……ごめん。
「まぁ、俺も最近海が運動できるの知ったんだよね。たまたま今日の授業でグラウンド見てみたら海がサッカーボールを綺麗にゴールに入れたんだもん。びっくりしちゃった」
へぇ、そうなんだ。私、全然知らなかったな。てか、美記は美記で授業に集中しようね?
「でも、あんまり行動範囲が広くないやつがいいね。セリフも言うんだろうし、過激じゃないやつ」
「それは俺も思った。佐藤さんの意見に賛成です。…となると、バレーくらいですかね?」
バレーか……苦手ではないけど、何をするにしても人数が足りなくない?ということに気がついた。