サファイア革命
「サルシャ!サルシャ!もおー!早く起きてー!」母親フィナの声で目が覚める。
時計を見ると朝の5時頃だった。ふわああ、、、。大あくびをしながらロフトを降りる。
パンケーキを焼いている母フィナの後ろ姿が見える。
綺麗な緋色の髪をチープな髪紐で止めているせいか、不調和な恰好に見えてしまう。
「サルシャー、私のワンピースのリボン知らない?マリンブルーのやつ!」「ごめん、知らない。クローゼットの2段目じゃない?」
「あ!そうかも!ありがとう!サルシャ!」
身内のサルシャから見てもフィナは美しい。
俺さえいなきゃ、貴族かひょっとすれば王族なんかの妃となっていてもおかしくはなかっただろうな、とよく思う。
ちょっと前に母に申し訳なくて、そのことを口にしたら鬼のごとく激怒され、ナイフや花瓶などが飛んできたことがあったので二度といわないけど。(この出来事でサルシャはいつも優しい人ほど怒ると怖いことを知った)
その時に母に言われたことは決して忘れないだろう。(なんでそんなこと言うの!私はサルシャの事が宇宙一大好きなんだからね!!!)正直に言う。めちゃめちゃ嬉しかったけど怖かった。怖いものなしと村の人たちにもよく言われるがそんなことはない。母は怖い。
ふと台所にある鏡に映る自分の姿が視界に入った。母さんと同じ日向色の右目と水色の左目を俺は持っている。
そんな目を持つ俺はミランジェという部類に入るらしい。
母さんはそんなことわざわざ伝えてこないけど、村の産婆だったジュリアおばさんから物心ついてしばらくしてそっと教えられた。
別に教えてくれなくてもそんなこと知ってたのに。
家に本棚があって、それは亡き父の物だった。
俺の父は頭脳明晰だったらしく戦争になんか行かなければ王国お抱えの学者になっていただろうと今でも話の種に使われている。
そんな父の本棚にはもちろんミランジェに関する書物も少なからずあった。
それを読み、俺は自分がミランジェなのだと知った。ジュリアおばさんに教えられるずっと前に。
自然と変な気持ちになる。このもやもやはなんだろうか。ずっと胸の内にあって昔から全然消えない。
ふうとため息をし、鏡が視界に入らないように顔を上げる。
母さんはもうパンケーキを焼き終えていた。加えて先ほどまで探していたワンピースのリボンをも無事に見つけたようだった。
「サルシャー、今日は母さん町に行くからもうそろそろ出なきゃの!ごめんね!じゃあ、気を付けてねー!」
母さんはふわふわのパンケーキが乗った皿を俺の目の前に置くと慌ただしく家を出て行った。
ゆったりとした湯気を放っている母さんの特製フルーツパンケーキは俺の好物。でも父リュカの本は俺の大好物。
本棚の前に立ち、ズラリと並んだ本棚の背表紙を眺める。背伸びして、二段目にある本を手に取る。
サルシャと同じ瞳の金色と水色がきれいに織り交ぜられた表紙の本で題名は「革命協奏曲」。
綺麗なはずの表紙は読みすぎてボロボロになっていて古くささを感じさせていた。
内容は悪者に立ち向かう勇者たちのお話でいつも貸本屋のデルタじいさんの家で哲学書や辞書などを読みふけっているサルシャからすれば少し非現実的で子供っぽいかもしれない。
でも主人公たちの悪に立ち向かう純粋さと勇気にサルシャは心惹かれている。
その物語はいつも大人びた心のサルシャを8歳の少年に戻してくれた。
本はいい。とサルシャはいつも思う。自分の瞳の色とか関係なしに自分を見てくれている。受け入れてくれる。
母さんと住むこの小さな田舎の村でさえ貸本屋のデルタじいさんと産婆のジュリアおばさん以外会うことは許されていない。
もし誰かが役所に通報でもしたらすぐにこの首とはおさらばになってしまうんだから。
動植物も同じで落ち着けるから好き。村のはてにある誰も近づきすらしないフィンカの森にもサルシャはよく通っている。
森の入り口は辛気臭いけど森の少し奥に行けば凛とした花々が四季折々で美しく咲き誇っており、木漏れ日がさしてとても心地いい。
なんで見た目で人は判断するんだろう。そんな疑問と本を抱えながらサルシャは本棚の前に佇んでいた。
時計を見ると朝の5時頃だった。ふわああ、、、。大あくびをしながらロフトを降りる。
パンケーキを焼いている母フィナの後ろ姿が見える。
綺麗な緋色の髪をチープな髪紐で止めているせいか、不調和な恰好に見えてしまう。
「サルシャー、私のワンピースのリボン知らない?マリンブルーのやつ!」「ごめん、知らない。クローゼットの2段目じゃない?」
「あ!そうかも!ありがとう!サルシャ!」
身内のサルシャから見てもフィナは美しい。
俺さえいなきゃ、貴族かひょっとすれば王族なんかの妃となっていてもおかしくはなかっただろうな、とよく思う。
ちょっと前に母に申し訳なくて、そのことを口にしたら鬼のごとく激怒され、ナイフや花瓶などが飛んできたことがあったので二度といわないけど。(この出来事でサルシャはいつも優しい人ほど怒ると怖いことを知った)
その時に母に言われたことは決して忘れないだろう。(なんでそんなこと言うの!私はサルシャの事が宇宙一大好きなんだからね!!!)正直に言う。めちゃめちゃ嬉しかったけど怖かった。怖いものなしと村の人たちにもよく言われるがそんなことはない。母は怖い。
ふと台所にある鏡に映る自分の姿が視界に入った。母さんと同じ日向色の右目と水色の左目を俺は持っている。
そんな目を持つ俺はミランジェという部類に入るらしい。
母さんはそんなことわざわざ伝えてこないけど、村の産婆だったジュリアおばさんから物心ついてしばらくしてそっと教えられた。
別に教えてくれなくてもそんなこと知ってたのに。
家に本棚があって、それは亡き父の物だった。
俺の父は頭脳明晰だったらしく戦争になんか行かなければ王国お抱えの学者になっていただろうと今でも話の種に使われている。
そんな父の本棚にはもちろんミランジェに関する書物も少なからずあった。
それを読み、俺は自分がミランジェなのだと知った。ジュリアおばさんに教えられるずっと前に。
自然と変な気持ちになる。このもやもやはなんだろうか。ずっと胸の内にあって昔から全然消えない。
ふうとため息をし、鏡が視界に入らないように顔を上げる。
母さんはもうパンケーキを焼き終えていた。加えて先ほどまで探していたワンピースのリボンをも無事に見つけたようだった。
「サルシャー、今日は母さん町に行くからもうそろそろ出なきゃの!ごめんね!じゃあ、気を付けてねー!」
母さんはふわふわのパンケーキが乗った皿を俺の目の前に置くと慌ただしく家を出て行った。
ゆったりとした湯気を放っている母さんの特製フルーツパンケーキは俺の好物。でも父リュカの本は俺の大好物。
本棚の前に立ち、ズラリと並んだ本棚の背表紙を眺める。背伸びして、二段目にある本を手に取る。
サルシャと同じ瞳の金色と水色がきれいに織り交ぜられた表紙の本で題名は「革命協奏曲」。
綺麗なはずの表紙は読みすぎてボロボロになっていて古くささを感じさせていた。
内容は悪者に立ち向かう勇者たちのお話でいつも貸本屋のデルタじいさんの家で哲学書や辞書などを読みふけっているサルシャからすれば少し非現実的で子供っぽいかもしれない。
でも主人公たちの悪に立ち向かう純粋さと勇気にサルシャは心惹かれている。
その物語はいつも大人びた心のサルシャを8歳の少年に戻してくれた。
本はいい。とサルシャはいつも思う。自分の瞳の色とか関係なしに自分を見てくれている。受け入れてくれる。
母さんと住むこの小さな田舎の村でさえ貸本屋のデルタじいさんと産婆のジュリアおばさん以外会うことは許されていない。
もし誰かが役所に通報でもしたらすぐにこの首とはおさらばになってしまうんだから。
動植物も同じで落ち着けるから好き。村のはてにある誰も近づきすらしないフィンカの森にもサルシャはよく通っている。
森の入り口は辛気臭いけど森の少し奥に行けば凛とした花々が四季折々で美しく咲き誇っており、木漏れ日がさしてとても心地いい。
なんで見た目で人は判断するんだろう。そんな疑問と本を抱えながらサルシャは本棚の前に佇んでいた。