一気読みです。夢中になって読んでいました。相性が良いなと感じる物語だったり文章だったりを見つけると、テンションがハイになることがあります。自分にとって大当たりの小説を見つけた時の心地良さを、本作品でも感じました。
これまでファンタジーものや妖ものといった物語に触れたことはほとんどなかったため、新鮮な気持ちで読み進めました。狐や狸、鵺などの人外や、鵺を退治する、ネノシマから派遣された少年、見鬼の双子など、少し複雑そうな設定に見えるのですが、そんなことはなく、妖ものを読み慣れていない初心者であってもとても分かりやすかったです。双子の幼馴染を交えた会話に微笑ましくなったり、人間と契約を交わし人間に寄り添ってきたものの、次第にさみしさを感じるようになった尾裂に切なくなったり、読みながら感情が揺り動かされました。妖にも人間が寄り添っているような、柔らかくて優しく、すっきりとした読後感でした。