Only
それでも夏海はちゃんと話を最後まで聞いてくれて、それから、ゆっくりと、諭すように話し始めた。




「『何か』を抱えてるのはお互い様。それを知りながら、気付かないふりして、言えないから辛くなって。惹かれながら別れて。何してんのよ、あんたも、陽輔君も。」

夏海は、私達に足りなかった部分を的確に指摘する。

確かに私達は、お互いの傷に触れて欲しくないばかりに、大切なことを何も聞かなかった。



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