Only
いつの間にか、フラフラと陽輔の家まで来てしまっていた。
会いたくて、堪らない気持ち。それだけでここまできてしまった。
でも、ここまできて、私には躊躇する心が生まれてきていた。
『俺たち、もう会わない方がいい。』
最後に陽輔に会った日、彼はそう言ったのだ。
私を拒絶する言葉。
あの言葉を思い出すと、どうしても躊躇してしまう。
あの、陽輔の漆黒の瞳に睨まれるのではないか。そうしたら私は……きっと、何も言えなくなってしまう。