Only
足が、これ以上進まない。会いたい、話したい。陽輔の瞳の中に私をまた感じたい。なのに、欲望と同じ位、不安を感じる。
私が会いにいったら、陽輔がどんな反応をするのか、全くわからなくて。
……やっぱり私は、陽輔の全てを知ってなんかいない。本当は何一つ、わかってなかったのかもしれない。
そう、思った。
『……帰ろう。』
こんな気持ちで陽輔に会うことは、やっぱりできない。
そう決めて踵を返し、来た道を戻りはじめた。
「…………。」
しかし、その足がまた、凍り付いたように動かなくなった。
目線の五十メートル程先に現れた光景によって。