Only



『・・・・・・美月と、サユ、どっちが好き?』



いつだっただろう、美月にそう聞かれたのは。
確か、まだお互い小さかった。
幼馴染だった俺と美月は、そのときまだ、
何も知らなかった。

ガキだった。
だから。

『どっちも好きだよ。美月は大切な幼馴染だし、サユは大事な妹。』

あんなことが言えた。

『・・・・・・サユと美月が溺れてたら、どっちを助ける?』

俺の答えに不満だったのか、美月がそんな質問を投げる。

『どっちも絶対助ける。』

そんなことを言った俺は、本当に何も、知らなかった。






俺の守れるものは





せいぜい『一つ』だけだった。





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