Only
結局、美月のことを泣かせるしかない俺。

美月を好きだと思っていた。
だから彼女にした。

それなのに、もっと大きな感情があることを知った。
今は美月との記憶も、かすれて、殆どみえない。


「ごめん・・・・・・でも、それがお前のためだと思う。俺みたいなひどい男、忘れるんだ。」

「忘れようって・・・・・・したけど。陽輔が、離れてくれない。他の誰と居ても、彼が笑っても、陽輔の笑顔が重なってみえる。急に私を放り出した、ひどい人。そう思って、・・・・・・思い込もうとしたのに。」



『もう、もとに戻れるなんて思ってるわけじゃないけど。』

目を赤くして、寂しそうに、・・・・・・縋るように、美月は言った。

「私から離れた理由を教えて。じゃないと・・・・・・前に進めないのよ。優しかった陽輔が、どうして、そんな冷たい目をするようになったの?」




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