Only
俺が美月から離れた理由、そして今また、明衣からも離れた理由。
それだけは絶対、言えないから。


「気持ちが冷めた。・・・・・・それだけだって、言っただろ。」

俺はあの時と同じ嘘をついた。そして、美月に背中を向けた。

「陽輔・・・・・・待って、」
「美月・・・・・・じゃあな。」

俺はそのまま美月から離れる。




結局、俺は美月に何もしてやれなかった。
気持ちを楽にしてやることも、真実を話すことも、できなかった。
なのになんで、再会してしまったんだろう。

美月には何もしてやれず、俺がわかったのは・・・・・・改めて思い知ったのは、『明衣を愛している』。
それが、間違いなく、俺の本当の気持ちだということだった。
わかっていたのに、嫌と言うほど、突きつけられた。
そして明衣に、会いたくてたまらなくなった。


まだ、引き返せると思ってた。

この気持ちを、消してしまえると思ってた。

なのに、気がついてしまった。

もう、消し去ることが出来ないところまで、気持ちは、膨れ上がってた。
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